テヘラン市内でもノウルーズを過ぎた途端に気温はぐんぐんと上昇し、例年にない暑さになっています。これは山間の農村部でも同じなようです。
この冬はとにかく寒く、一度どかんと降った雪が溶けることなく春まで残っていました。そのため、何となく見過ごしてきたのですが、降雪量自体は例年に比べると少なかったのでした。
山間部の農村に行くことが多いのですが、例年なら緑の草に覆われているはずの山々が、まるで秋の山のように緑が見られない状態です。当然、春に咲く花々も例年に比べると寂しい限りです。
また、果樹をはじめとする木々も、寒さで被害を受け、立ち枯れてしまっているものも目立ちます。ある村では葡萄の木が全滅してしまったと嘆かれました。それなりに花をつけているように見えても、果実が大きくなる時期に水をやれるかどうかと心配しているようでした。

ペルシア語で干ばつをkhashk-saliと言います。Khoshkは乾燥した、雨が少ないという意味で、saliは年。この単語、もう一つの意味として「飢饉」というものがあります。天からもたらされる雨は、文字通り命の水なのです。現世利益を否定するイスラームの地にあって、雨乞いのための儀式が各地に残されていることからも、雨の重要性が十分に理解できます。もっとも、最近はこうした儀式は行わなくなっているようですが。海外から食料の輸入ができるようになり、水不足が即大飢饉につながることが少なくなったということもあるかもしれません。
政府は、果物や米、小麦などを外国から輸入しています。安い外国産のものを輸入することで国内の物価が安く抑えられていると言っているそうですが、世界的に穀物などの値段が上がり、また、食料の奪い合いのような状況になり始めている今、国内の農村基盤を整備し、国内自給率を維持することも大切なのでは?と、毎週のように農村巡りをしていると思わずにいられません。日本は食料の輸入が止まったらあっという間に干上がるに違いないのですが、それは果たして国のあり方としてどんなものだろうかと思うのです。

もちろん、今年のような水不足は自然災害であって、政府の責任でも何でもないのは分かっているのですが。それでも、水資源は工業用を優先し、農業に使うな、という考え方はどうなのかな、という感じもします。もうちょっと考え方を変えることはできないのかな、とも思います。

高騰する原油からもたらされる莫大な国家収入は、決して一部の人々のポケットに入れるためのものではないと思うのですが、大統領閣下には「石油収入をすべての国民のテーブルに」という初心を思い出していただきたいものだと願います。やるべきことはたくさんあるのですから。
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赤い土のでこぼこ道
緑に囲まれた村
青い空を流れていく白い雲
むき出しの岩山
谷から聞こえてくる羊の鈴の音
調査ってどんなところへ行っているんですか?という質問がありました。
調査の対象が農村にあることが多いので、農村部へ行くことが多いのです。昨年から今年にかけては平野部よりも山間部へ行くことが多く、また、調査対象が村からさらに山の中へ入ったところにあることも多いため、自動車では行けず、気がつくと山歩きになっていることが多いです。だから自然と山の中の話が多くなってしまいます。
日本では農村部の高齢化、過疎化が問題になっていますが、若者の国イランでも農村部は似たような状況です。
仕事を求めて、進学のため、若い人たちは町に出て行ってしまい、農村にはお年寄りだけが残っているという状況です。
幹線道路はアスファルトの立派なものが通っているのですが、山間部はまだ未舗装の道路も多く、隣の村へ行くのに一時間はかかるというところもあります。また、いくつかの村ごとに一つ、保健所が設けられていて定期的に医師グループが巡回してきますが、常駐しているのは保健師だけなので急な病気には対応できません。以前訪れた村で、「冬は誰かが死んだとしても、墓を掘ることができないのが困るよねえ」という発言に驚かされたこともあります。
都市部への異常な人口の集中は様々な弊害をもたらしています。
日本も人口の一割以上が東京に集中しているそうですが、イランでもテヘランへの人口の集中は日本以上のものがあるようです。地方の振興というのが難しいのは分かるのですが、なんとかならんもんかなあとなんだか悩んでしまいます。
大統領閣下には、潤沢な石油収入を人気取りのためにばらまくのではなく、もうちょっと考えて使ってほしいよなあと、テヘランではなかなか見ることができなくなったすっきりと高い青空を見上げながら思うのでした。
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方言がきつかったので一緒にいたイラン人の友人に応対をまかせ、私はそこに寝そべっていた猫にカメラを向けました。野良猫にしてはとてもきれいで近づいても逃げ出しません。
「何を撮っているんだい」
「あの猫ですよ。とってもきれいですね」
「私と一緒にいつも村の中を歩いているんだよ」
「おや、あなたの猫でしたか」
「こんな小さな時から育てたからね。私が行くところにはどこでもついてくるんだよ」

とまあ、こんな会話が交わされている間、猫はそこに寝そべっていました。おばあさんが少しでも移動するととことことついて行き、また寝そべります。
友人と私はその様子にびっくりしてしまいました。

「犬ならともかく、猫でもあんな風に人にくっついて歩くものなのかなあ」
「本当に小さいときから大切にしていたんだろうねえ」
「それにしてもすごいですよ」
「そういえば、テヘランの人は猫が嫌いで、よく石を投げつけたりしているけど、あのおばあさんはそうじゃないんだね。どうしてテヘランの人はあんなに猫を嫌うの?」
「猫はずるいからです」
「ずるい?」
「この春、ベランダとか庭をきれいにしようと思って、鉢やプランターを買って花の苗を植えたんですよ。ところが、夜になると猫がやってきてそこで寝るんですよ。おかげで苗はぺちゃんこになってしまってしまって、花を咲かせるどころではなかったんで、悔しかったんですよ。どうしてわざわざあんなところで寝るんだろう」
彼には悪いのですが、思わず笑ってしまいました。
「猫ってそういうところが好きだから〜〜。ちょっと狭い不思議なところで丸くなって寝るんだよね〜〜」
「そうですか?」
「そうそう。ちょっと前に日本でも、鍋の中でくるっと丸くなって寝る子猫がものすごく話題になったんだよ〜〜」
「鍋ですか」
私の住むアパートの斜め前の建築現場で働く労働者たちは、猫を見ると、それがちょっと離れたところを歩いているものでもわざわざ走っていって石を投げつけます。高校生くらいの男の子たちが子猫を蹴っているのを見たこともあります。猫好きにとってはちょっと辛いところなのですが、おばあさんとおばあさんを信用して大好きな猫の様子に、山歩きの連続で筋肉痛ではあっても、ちょっとうれしくなってしまったのでした。
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村を離れて山道を歩くと、足下には高原の花が咲いています。

テヘランに戻ったら中間試験の問題を作らなくてはいけないという憂鬱はちょっと忘れて、排ガスの臭いのない新鮮な空気をたっぷりと堪能してきたのでした。
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「イランでは自由な選挙が行われている」とイラン政府は様々な広報機関を使って海外に宣伝していますが、確かに、立候補者の誰に投票することも自由です。しかし、自分たちに都合の良い人物しか立候補させないのですから、「あれはエンテハーバート(選挙)じゃなくてエンテサーバート(任命)だよ」と投票に行くことがばかばかしいと感じるイラン人ばかりになるのは仕方のないところです。(関係ありませんが、こういうちょっとした言い回しを聞くと、イランの人たちはこういう言葉遊びがうまいなあと思います。)
選挙もそうですが、イラン政府のやり方には、先日のチャーバハール行きの中で非常に問題を感じさせてもらいました。
イランの南東部、オマーン海沿いのパキスタンとの国境にも近いところにチャーバハールという町があります。イランに三つある経済特区の一つで輸入品に関税がかけられていないため、様々な商品が安く買えます。また、オマーン海に面しているため、5〜6月は非常に暑くなりますが、7月からは気温も下がって過ごしやすくなるという穏やかな気候もあって、イラン国内からの観光客もそれなりに多いそうです。

(チャーバハールの位置はここ。画面右下、テヘランから最も遠い町の一つ)
このチャーバハール周辺では、以前にもお話ししましたが、昨年、台風の大きな被害がありました。また、この冬は例年になく雨が多かったために洪水の被害もあちこちであったそうです。
イラン南東部というのは飲料水の確保が難しいところです。一年を通して流れている川はなく、降った雨ははげ山を駆け下り、低いところへと流れ込み、あっという間に全てを流し去ってしまいます。いつどこにどんな風に水が流れるのか予測が難しいため、ダムや堰を作ることもままなりません。
現在は、海水の淡水化プラントで作った水をチャーバハールや周辺の村々に配っているのだそうですが、このプラントが非常に古いものなのでしょっちゅう故障しているのだそうです。
あげくに、先日、「台風やら洪水やらでこちらも予算を使い切ってしまったから、チャーバハール周辺の村への真水の供給をやめるよ。選挙前でそちらも色々大変だと思うけど、まあ、よろしく」という一本のファックスが州政府から送られてきたかと思うと、水が止められてしまったのだそうです。
水を止められてしまった村の多くはまだ台風や洪水の被害から立ち直れていません。赤新月社から配られたテントやキャパルと呼ばれる小屋を建て、何とか生活している状況です。そこへ持ってきて、水の供給を止めるというのですから大変です。
そういった村では、農業などに使うために天水を溜める用水池の水を飲用に回しているそうですが、洪水によって下水が混じってしまった水ですから非常に汚染されています。この水が原因となっての病気も報告されてきているそうです。

(写真は村の用水池の一つ)

(用水地。こんな水を飲むことを余儀なくされている村も多い)
そういう村々を回り、どうしたものだろうと悩みながらテヘランに戻ってきてみたら、大統領閣下が得意満面でテレビの画面に映っています。そして「イラクに対して10億ドルの融資を初めとする復興支援をする」などと演説をされているではありませんか。「予算がないから」と国民を切り捨てておいて、他国にはそれだけの金が出せるのかと、久々に心の底からの怒りを覚えずにいられませんでした。
「貧困故に犯罪に手を染める」と言う人が多いようですが、それなら、犯罪に手を染めなくとも生きていけるように何らかの産業振興はできないものかと思わずにいられないのでした。季候は良いし、テヘラン周辺よりも人件費はずっと低く抑えられるし、目の前に港があるので輸出入は問題なしだし、経済特区なので政府からの助成も得られるし、治安も全然問題はないし、イラン国内向けではなくて近隣諸国への輸出ということを考えるなら悪い場所ではないと思うのですが。
イラン国内という意味では非常に遠いです。テヘランからですと、何と国外であるカタルよりも遠いのです。陸路の移動ですと、24時間以上かかってしまいますし大変なのが難点かもしれません。
でも、日本企業の一社くらい考えてみてくれないかなあと、特区内に燦然と輝く「TOYOTA」販売店を見上げながら思わずにいられなかったのでした。

(村の子どもたち。事態は深刻なのだが明るい色の衣装がなんだかほっとさせてくれる)
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このところ、ばたばたしていて疲れがたまっていたんだなあと自分でも納得なのですが、目が覚めて時計を見たときには一瞬、日時を把握し損ねてしまいました。調査から戻って、あ〜疲れた、とベッドに横になった瞬間から意識がなくなっていたわけですからすごいです。
その調査ですが、まあ、内容そのものは調査というには大げさかもしれないようなものなのですが、イランの農村部をひたすらがたごとと走り回るので楽しくもあり、大変でもありというところです。
大変なことの一つに、イラン行政府がとにかく大変な勢いで道路を作るので、地図にある道路と実際の道路が変わってしまっていることがあるというものがあります。
それと、やはり行政府が、様々な理由から村の名前を変えてしまうことがあるというものもあります。実際に人々が使っている古い呼び名と地図上の名前が違っているために、場所を見つけ出しにくくなってしまうのです。
とまあ、そんなこんなで、昨日もちょっとおもしろいことがありました。
友人に車を出してもらい、ずっと以前に行き損ねていた村を訪れようとしたのです。
「ええと、この辺りで誰かに、『フェルドゥース村』へ行く道を聞いておいて」
「フェルドゥース村ね」
「そうそう」
通りがかりの人に道を尋ね、戻ってきた友人曰く、
「その地図、間違ってますよ。フェルドゥース村じゃなくて、フェルドゥースィーエ村ですよ」
「え?そう?」
「みんな、もう少し行くと、『フェルドゥースィーエ』はこっちと看板が出ていると言っていますから」
「ふ〜〜〜ん」
と走り出すと、確かに『フェルドゥースィーエはこちら』と看板があります。しかし、看板が見えてからなかなか道路にたどり着きません。不安になった友人が車を止めて、歩いていた人に聞きました。
「フェルドゥースィーエはどこで曲がるの?」
「フェルドゥースなら、300メートルくらい行くと舗装道路があるから、そこを曲がって最初の村だよ」
「ねえ、フェルドゥースって言ったよ」
『フェルドゥース』というのはペルシア語で『天国』という意味です。ホラーサーンの方にも同じ名前の村があり、サフラン生産などで有名です。
どうしてこのフェルドゥースという地名をわざわざ『フェルドゥースィーエ』に変える必要があったのかと考えてしまいました。
フェルドゥースだと『天国』そのものであり、それが地上にあるのはよろしくないが、フェルドゥースィーエだと『天国のような』という意味なので地上にあってもよろしいと、誰か気の利いた人が考えたのではないかという結論に。ばかばかしい限りではありますが、恐らく、それほど大はずれではないように思います。
関係ありませんが、「日本にもそういえば、『天国(あまくに)』という名字の人がいるよ」と言ったら、「へええ」となんだか感心されてしまったのでした。
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ご指摘の通り、私も含めみんなかなり怖い場所にいます。

会場設営中はこんな感じ。まずは下の方から埋まっていきます。
この時点では、屋上などに上がると「下に降りなさい」と指導が飛びます。私たちは、ちゃんと文化イスラーム指導省からの取材許可を取り、会場の運営責任者に許可を取っているので大丈夫です。ただ、自然と、次から次へと屋上に上がってくる人たちに対して、「危ないから前に出るな」と注意をする役目も負うことに。

小路からテキエへと入る入り口上の細い空間に陣取る女性たち。降りるようにと何度も注意をされていましたが、とうとう最後まで動きませんでした。ちなみにこの写真の右下に写っている煉瓦の床(正確には屋上ですが)が私の立っていた場所です。柵も何もなく、またひびが入っている様子に、「これは多人数が乗ったら割れるのでは?」とちょっと心配に。

開始時間が近づくと、誰が何と言おうと良い場所で見ようと、女性たちが次々と屋上に上がってきます。


気がつくとこんな狭い場所にも家族でぎゅうぎゅうになって場所取り。

後ろからちょっと押されたり、強い風が吹いたりしたら落ちるのではないかと、見ている方がはらはらしてしまうような場所にも。
会場では、「隣のホセイニーエ(一種の集会場)でこの様子をスクリーンで見ることができるから無理はしないように」とのアナウンスが何度か流れていましたが、どのくらいの人がそれを聞いて移動したかは分かりません。
危ないことをするのを奨励するつもりは全くないのですが、年に一回の行事を良い場所で見たい、家族が参加する姿を生で見たいという気持ちは分かるよなあとは思ったのでした。
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昨日ご紹介した骨組みに、鏡を取り付け、花を飾り、黒い布にカルバラーで殺された72人の名前を刺繍したものをかけ、準備完了です。鏡は、「そこに自分の心を映し出せ」という意味なのだとか。
ナフル・ギャルダーンが始まる時間が近づくと、ヤズド市内や郊外の各地から行事に参加すべくダステ(行列)が次々とやってきます。



ナフルを管理しているヘイアトが、数十キロ以上あるアラムを持ち上げ、くるくると回転して訪れるダステを出迎え。

広場が人でいっぱいになると、説教を織り込みながらイマーム・フサインの死を悼むロウゼ(悲劇語り)が行われ、胸を叩き、声を合わせて唱和し、悲しみを表現します。
ロウゼが一段落したところで、いよいよナフルが持ち上げられます。「方向転換をするよ」とアナウンスがあり、鏡が貼られた面を前にして、ナフルの上に乗ったセイエド(アラビア語のサイイド預言者の血を引く人)の鳴らすシンバルに合わせて動き出します。



ナフルを担ぐ人以外は、「ホセイン(フサインのペルシア語風発音)」「ホセイン」と叫びながらナフルを追いかけて走ります。



時計と反対回りに三回ナフルを回して一度停止。もう一度ロウゼが詠まれます。
そしてもう一度ナフルが回ります。


これが計三回繰り返されます。
三回目が終わると、ロウゼもそれまでの胸をたたき、叫ぶ熱狂的なものから、死を悲しむ少し静かな調子のものへと変わります。

会場に入りきれなかった人も外の小路で中の人々と一緒に悲しみを表現。


一時間ほどの行事だったのですが、あっという間でした。
寒風吹きすさぶ中裸足で参加した男性たちには心からの敬意を表します。
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ヤズドを訪れたことがある方は、「アミール・チャクマーグのテキエ」と呼ばれる歴史的建築の前に置かれたものを目にしていらっしゃることと思います。

これが「ナフル」です。
カルバラーで殺されたイマーム・フサインの棺を模したものだとも、カルバラーで殺された生後六ヶ月の赤ちゃんだったイマーム・フサインの息子、アリー・アスガルのゆりかごを模したものだとも言われ、起源ははっきり分からないのですが、イランの一部地方ではアーシュラーのクライマックスとしてこのナフルを担ぎ、町や村を練り歩きます。昨年のアーシュラーでは、アビヤーネのナフルをご紹介していたと思います。
地方によって形や儀式の行い方に違いはありますが、ヤズドのナフルが最も有名かもしれません。
ヤズドでは、「テキエ」あるいは「ホセイニーエ」と呼ばれる殉教劇を演じたり、アーシュラーの儀式を行うための場所でナフルをぐるぐると引き回します。何トンあるのか聞き損ねたのですが、木材でできた大きなものですからかなりの重量があると思います。これを男性たちが持ち上げ、回すのです(ギャルダーン)。それで、この行事を「ナフル・ギャルダーン」と呼ぶのだとか。
アミール・チャクマーグのテキエでは現在はナフル・ギャルダーンは行われておらず、ヤズド市内の数カ所とヤズド市周辺の町や村の一部で行われているだけだとか。
写真の整理が終わらないため、行事の様子はまた明日ご報告いたします。
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当日は仕事から帰ってきて、何となくテレビを付けたらちょうど日本からの生中継で試合の様子が放送されていて、お昼を食べるのも忘れて見入ってしまいました。
全く関係ない話なのですが、浦和レッズの「永井」という選手の名前をイラン人実況アナウンサーが呼ぶ度に「長い」と聞こえるのが妙に印象に残った放送でした。
それはさておき、川崎フロンターレ、浦和レッズと日本のチームが立て続けに対戦したために、「イスファハン(ペルシア語ではエスファハーン)」「セパハン(ペルシア語ではセパーハーン)」という名前が随分とネット上で知られるようになったような気がします。そのおかげで、私も一つ物知りになりました。エスファハーンが海抜1600メートルもある、ということです。これまで何度もエスファハーンを訪れていますが、そんなに高いところにあるとはは知りませんでした。
テヘランの高さについてはよく聞かれるので知っているのですが、エスファハーンは何となく、テヘランよりも低いところにあるような気がしていました。私が住んでいるあたりで1100メートルを超すていどだそうですから、それよりも500メートルも高いところにあったのかとびっくりでした。
確かに、冬のエスファハーンはテヘランに比べると随分と寒いのですが、ザーヤンデルード川が流れているからとか、平原で吹きさらしだからとかいう理由ではなく、高地にあったからだったのかと、目からウロコでした。ただ、私の手元にある地図や資料などでは、正確にエスファハーンが海抜何メートルの所にあるのか分からないのですが。
セパーハーンというチーム名はエスファハーンの古い呼び方です。
今でも「Sepah(セパフあるいはセパー)」は「軍」を意味しますが、遠い昔も同じ意味でした。そしてエスファハーンは軍事拠点としてその名を戴き、発達した町のようです。
アケメネス朝時代の古代ギリシアの文献では「エスパーラーン」「エスパダーン」、サーサーン朝時代のパフラヴィー語では「セパーハーン(セパーが「軍」でハーンは「場所」を表すとのこと)」あるいは「エスパーハーン」、アラブ人がイスラームと一緒にイランにやってきて、その当時、アラビア語ではPの音がないのでBに転訛して「イスバハーン」、近代ペルシア語ではPがFに転訛して「イスファハーン」、現代のペルシア語の発音ではイがエに変化して「エスファハーン」と、発音は少しずつ変化はしても、二千年以上に渡って名前が見られるという古い町です。もっとも、現在の町に残るの歴史的建造物は、多くが17世紀頃からのサファヴィー朝時代の建築です。
イスラーム・ペルシア建築の最高峰と言われる建築群は世界遺産にも指定されています。その美しさを表すために、「イスファハーンは世界の(美の)半分」と言うそうですが、サファヴィー朝と対立していたトルコのオスマン朝の都イスタンブルの方が美しいぞと、トルコでは、「イスファハーンは世界の半分。もしイスタンブルがなかったなら」と言うそうです。まあ、どちらが美しいかは人それぞれの好みだと思うのですが。

セパーハーンのメインスポンサー「フーラード」とは鉄鋼のことで、エスファハーンの外にあるイラン最大級の製鋼所のことです。
石油に頼った経済を改めようと、イランは石油以外にも豊富な鉱物資源を利用した産業立国を目指しています。鉄鋼もその一つで、詳しいところは分からないのですが、最近では近隣諸国に輸出をするほどになっているとか。鉄を溶かす際に天然ガスを使っているところが他の国々と違っているところだとの説明を受けたことがあるのですが、天然ガスを使うとどのように良いことがあるのかはよく分かりませんでした。
最近話題の核開発施設もエスファハーン郊外にあるとされていますが、近年は工業都市として発達し、テヘラン、マシュハドに次ぐイランで三番目の人口を有する町となっています。
イランでは人口が増えると自動車の数が増え、交通渋滞と大気汚染がセットで増えることになります。エスファハーンもその例に漏れず、町の中心部などは道路が狭いために常に渋滞状態でした。そのため、地下鉄建設工事が何年か前から始まっています。
そういえば、今回のACLの試合を通して一番の収穫は、「フーラード・セパーハーン」というチームがエスファハーンにあるということを改めて認識したことかもしれません。
もちろん、チームの名前などは以前から知っていましたが、イランではテヘランではテヘランのチームの試合を中心に放送し、エスファハーンではエスファハーンのチームを中心にと、中継の地元志向が強いため、地方都市に拠点を置くチームはテヘランのチームと試合をするときくらいしか目にすることがありません。しかし、今回のことで、チームの名前だけではなく、選手の名前やスタジアムの様子までしっかりと認識できたのでした。
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